Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

既に其処から花田は逃亡していたと、帰って隊長に報告すれば、宇治は原隊に不自然でなく復帰出来るだろう。そして宇治の任務は解き放たれ、事は憲兵の手に移されるだろう。移されたとしても此の混乱では、憲兵の活動は無きに等しい。戦いはその中何らかの形で終結するに決っている。そして花田中尉は或いは生命を全う出来るかも知れない。

(その時この俺はどういうことになるのだ)

勲章を部屋にかざった愚直な隊長や、鐘乳窟の火薬の臭いや、石鹸水のような地酒の味が突然ありありと頭に浮んで来た。彼はその記憶を打消すように強く顔を振った。そこにかえることを想像すれば、そこにはあまりなまぐさい抵抗があり過ぎたのだ。

(あの男は俺を逃げて来た口だろうと言ったが、あれは単に悪まれ口か、それとも俺の態度から何かを嗅ぎ出したのか?)

宇治はよろめいて木の幹に身体をささえた。そしてそのままそこに崩れるようにしゃがんだ。

「高城伍長」彼は苦しそうに呼びかけた。「少し休んで行け」

肩から吊した水筒を外し、栓をとった。強いウィスキイの香が拡がった。口をつけて水筒を傾けた。舌を焼くような液体が咽喉へ落ちて行った。