Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
自分の恣意によってもう直ぐ一個の生命が絶たれることを思った時、宇治は戦慄に似た快感が胸にのぼって来るのを感じた。その快感も明かに一時的な酩酊にたすけられている。宇治ははっきり意識していた。
(あとで俺は後悔するかも知れない)
破滅するなら早く破滅した方がいい。気持が急速に荒廃に赴くのを感じながら、宇治は顔をぐりぐり膝頭に押しつけた。眼花が暗く入り乱れた。暫く経った。
林の奥から鈍い銃声が一発響いて来た。林に拡がる反響を全身で感じながら、顔を膝におしつけたまま、彼はその瞬間、鈍く湧き起ったある感じにじっと必死に堪えていた。――
それから一時間程経った。二人は黙って不機嫌な顔をして密林の中を歩いていた。酔いはまだ身体の節々に残っていたが、意識は冷たく覚めかかっていた。
道は矢張り僅かな下りである。身体は疲れている癖に何処かとがった処があって、歩いて行くのが大儀であったが、脚を交互に動かしているのが自分の力でないような気もした。黄昏の色が既に樹々の肌に渉み出ていた。今此処で野宿出来るとも思い、それでも歩いた。花田は何処まで行ったのか判らない。そこらの樹の影から現われて来るかも知れない。