Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

五郎は所望して、また味わってみた。

「ああ。これは戦争中、二、三度飲んだことがある。どこで飲んだのかな。思い出せない。もっと強かったような気がするが――」

「割らないで、生で飲んだんでしょう」

丹尾はまた注いだ。盃は大ぶりで、縁もたっぷり厚かった。

「ぼくも枕崎に行こうかな」

丹尾はまっすぐ彼を見て言った。五郎の顔は瞬間ややこわばった。ごまかすために、またうどんを一筋つまんだ。

「なぜわたしについて来るんだね?」

「ついて行くんじゃない。あそこあたりから商売を始めようと思って」

「商売って、映画の?」

そろそろ警戒し始めながら、五郎は丸椅子をがたがたとずらした。

「そうですよ」

丹尾は手をたたいて、また酒を注文した。

「直営館なら問題はないけどね、田舎には系統のない小屋があるでしょう。面白くて安けりゃ、どの社のでも買う。そこに売込みに行くわけだ。解説書やプログラムを持って、これはここ向きの作品だ。値段はいくらいくらだとね。すると向うは値切って来る。折合いがつけば、交渉成立です。そこがセールスマンの腕だ。各社の競争が烈しいんですよ」

「いい商売だね」

「なぜ?」

「あちこち歩けてさ」