Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
栗の木から五米位離れた、灌木の茂みのそばに、一寸した窪地があって、私達は少しあわててそこに走り込んだ。二人並んであおむけに寝た。胸が動悸を打っている。
「これが、私の寝棺です」
男は低い声で言い、微かな笑い声を立てた。まこと、寝棺の形であった。二人では、狭すぎる。何か答えようとして、私が男の方に身体を動かしかけたとたん、空気を断ち切るような金属音が急に破裂するように増大し、轟然たる音の流れとなって私達の頭上をおおった。私の視野を、銀色に輝きながら、グラマンが大きく現われ、そして瞬時にして消えた。思わず身体を起しかけたとたん、引裂くような機銃の音が連続しておこり、そして止んだ。飛行機の爆音は見る見るうちに小さくなり、海のむこうに消えて行ったらしかった。飛行機の通りすぎる間、忘れてしまっていた蝉の声が、此の時になってよみがえって来た。男は身を起して、電話機についた。
「鹿児島方面に退去。ええ、退去しました」
暫くして待避もとへのサイレンが遠く山の下から聞えて来た。私も立ち上って、草原のはなに立ち、あたりを見下した。今迄あちこちに待避していたらしい人影が、道路や広場にぽつぽつと現われて来た。