Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
しかし町並は短く、あっという間に通り過ぎた。五郎は緊張を解き、背を伸ばした。
それからしばらく、五郎は膝を立てて手を組み、車の揺れに体を任していた。日がうらうらと照り、左手の方向に海が見えたりかくれたりする。右手はずっとシラス台地で、ところどころに部落があり、時には煙突が見え、合同焼酎製造工場という文字なども読めた。やがてトラックは橋を渡った。
「これが万瀬川です」
聞きもしないのに、若者が教えて呉れた。
「ここらから吹上浜になるんです」
「君はどこの生れかね?」
「わたくしの生家は伊作です」
若者は白い歯を見せて笑った。
「アメリカ軍が吹上浜に上陸して来るというので、あの頃は皆びくびくしていましたよ。二十年前ね」
「君はいくつ?」
「二十八歳です」
「じゃ国民学校の頃だね」
「はい。八歳の時です」
トラックを乗り捨て、まっすぐ浜の方へ歩く。防風林を抜けると砂丘となり、海浜植物が茂っている。植物の名は知らないが、浜木綿とか浜防風とか呼ぶのだろう。砂丘にしがみつくようにして、群生している。そこらに腰をおろして、彼は海を見渡した。沖に大きな島かげが見えた。甑島だ。空気がかすんでいるので、甑島はちょっと見には、九州本土につながった半島か岬のように見える。