Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

少年の家に押しかけて行くべき理由は、何もないのだ。彼はサイダー瓶を防風林へ投げ、弁当の殻や包み紙はまとめて火をつけた。透き通った炎を上げ、すぐに焼け焦げた。物憂くて立ち上る気がしない。

「伊作って遠いのかい?」

「ちっと遠い」

「案内して呉れるかね?」

少年はうなずいた。立ち上らざるを得ない。懸声をかけて立ち上る。入洲に手をつけて、飯粒などをざぶざぶと洗い落す。少年の後について歩き出した。

松林に入る。しばらく歩くと、林の中に大きな縄が置いてある。長さ二十メートルばかり。立ち止って調べると、松根を芯にして、まわりを藁で巻いたもので、何のためにつくられ、何のためにここに置かれているか判らない。少年を呼びとめて聞いた。

「これで何をするんだね?」

「綱引き」

「綱引き? 両方から引っぱり合うのか」

少年はうなずく。

「なるほどね」

五郎は答えたが、納得したわけではない。納得したいとも思わない。納得したいという気持は、ずいぶん前から、彼の心の中で死んでいる。五郎は言った。

「ちょっとここで休憩しよう」

少年は不承不承、五郎に並んで綱に腰をおろした。五郎は内ポケットから金を取り出した。