Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
羽田を発つ時から、丹尾はそう決めてかかっていた。度々訂正をしたのに、その考えを捨てていない。それが彼には解せなかった。
「馬はどうです?」
馬子が馬をひいて近づいて来た。
「火口を一周しますよ」
五郎は手を振って断った。四、五歩後退しながら、丹尾に言った。
「弁当を食べないか?」
「弁当?」
いぶかしげに丹尾は反問した。
「弁当、持ってんですか?」
「持ってるよ。二人前」
彼は風呂敷をといた。中から折詰がふたつ出て来た。丹尾はあきらかに驚愕した。
「ぼくの分もつくって来たんですか?」
彼は返事に迷った。女指圧師のことをしゃべるのは、面倒であり、重苦しくもあった。
「そうだよ」
少し経って彼はうなずいた。
「ひとつは君の分だ」
「ど、どうしてぼくが――」
丹尾はどもった。どもって、絶句した。
火口が見える小高い場所で、丹尾はトランクに腰かけ、彼は平たい岩に腰をおろした。弁当を開き、丹尾はポケット瓶を出してあおった。そして瓶を彼に突出した。
「どうです。いっぱい」
「いや。おれも持っている」
彼はポケットから自分のを取出した。蓋に注いで二杯飲んだ。丹尾はその動作をじっと見ていた。