Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

「五万円でどうです?」

「五万? そんなに持ってない」

「いくら持ってんですか?」

「二万円」

三田村から送って来た金である。今朝現金にしたばかりだ。

「二万円?」

丹尾はがっかりした表情を見せた。その瞬間、丹尾の中にある死への意志を、彼はありありと嗅ぎ取った。

〈こいつは賭け金を、飛び込むスプリングボードにするつもりだな〉

おめおめと一周して戻れば、丹尾の五万円は彼のものになる。セールスマンという職業で、五万円のただ取られは痛い筈であった。

「いいでしょう、二万円」

丹尾はあきらめるように言った。

「じゃ二万円、出しなさい」

「出すけれどね、おれはそれほど君を信用していないんだ」

「どういうことですか?」

「君に預けると、君は飛び込まないで――」

彼は根子岳の方を指した。

「あの山の方に逃げて行くかも知れない。するとおれは金を詐取されることになる」

「そんなに信用がないのかなあ」

「では君は、おれを信用しているのか?」

丹尾は五郎の顔を見て、黙り込んだ。五郎はしばらく風景を見ていた。彼等二人のすぐ傍を、見物人が通り、また写真を撮ったりしている。見物人たちは、ここで二人の男が何を相談しているのか、全然知らないのだ。