Japanische Klassiker mit Furigana
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やりがたけだいさんかいとざん
槍ヶ岳第三回登山
小島 烏水
Lesen Sie 槍ヶ岳第三回登山 (やりがたけだいさんかいとざん) von 小島 烏水 (こじまうすい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.115 Zeichen · 11 Bildschirme
輪廓をした槍ヶ岳の円柱が、幾本となく縦に組み合わされた、というよりも大磐石にヒビが入って、幾本にも亀裂したように集合して、その継ぎ目は、固い乾漆の間に、布目を敷いたように劃然としているのが、石油のようにうす紫を含んだ灰色の霧に、吹っかけられて、見るみる痙攣られたように細くなり、長くなり、分裂の指先をつぼめて、一ツになったかと思うと、又全身を現わして、その霧や雲の間から、避雷針のように突出したのを仰いでいると、全身がもう震動するのである。
やっと槍ヶ岳の頂、といっても槍の穂先からは、まだ蛭巻ぐらいの位置に当る、平ッたい鞍状地に到着した、槍から無残に崩壊した岩は、洪水のように汎濫している、そうしてこれが巨大なる槍ヶ岳を、目の上に高く聳えしむるために、払われた犠牲であるかと思うと、私は天才の惨酷に戦慄するのである。
槍の穂先へ登る道を忘れたので、むやみに石角に手をかけ、足を托した、石の角は剣の如く鋭く尖って、麻の草鞋が触れるたびに、ゴリゴリ音がする、幾本の繊維が、蜘蛛の糸のように引きぎれて、石の角にへばりついた、肩の尖りを一々登って、ようやく槍の絶頂に突っ立った、槍ヶ岳より穂高へ続く