Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

「まあ聞いてちょうだい」

「たくさんだ」

「聞いてちょうだいったら、新さん」とおみやは云った、「あたしはそう云ったわ、たしかに云ったことよ、でも嘘をついて騙すつもりじゃあなかったわ」

「これが嘘じゃないって」

「そんなつもりはこれっぱかりもなかった、ほんとよ、もしあんたを騙すつもりなら、お骨をあんなところに置いときゃあしない、いくらあたしだってそのくらいの知恵はあってよ」

「ではいったいどういうことなんだ」

「あたし新さんが察してくれると思ったのよ」

「察しるって」と新八は拳をふるわせた、「貴女がかよいだいこくといって、あの寺の住持のところへ身を売りにいくことをか」

「新さんには無理だったのね」とおみやは云った。捲れていた裾を直し、弱よわしくうなだれながら、おみやはゆっくりとつづけた、「あたし初めの日に、あんたに云ったでしょう、兄のために苦労する決心をしたって、兄は呑んだくれの我儘者だけれど、それでも苦労してあげていい値打があるし、そのうえ新さんって人まで殖えたでしょう」

「それも嘘だ」と新八が云った。

「あら、なにが嘘なの」

「私はいつか柿崎さんが貴女に云っているのを聞いた、もう稼ぐ必要はない、金はおれが遣るって、柿崎さんははっきり云ったし、貴女が金を貰っていることも知っているんだ」