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Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

麻疹は済んだのだろう。はい。では余病でも出たのか。よくわかりませんが、腸をこわしたようで、下痢が止まらないということですと丹三郎は云った。

甲斐の眉間に皺がよった、「いつかみまってやろう」と甲斐は低く呟いた。

その夜半、おくみが甲斐の寝間へ来た。白い寝衣に、派手な色のしごきを緊め、髪を解き化粧をしていた。おくみは甲斐の夜具の中へはいった。

「おとなしく寝るんだぞ」と甲斐が云った。

おくみは甲斐により添い、躯を固くしてわなわなとふるえた。甲斐はおくみの肩へ腕をまわした。おくみはその腕を枕にし、もっとぴったりと、甲斐のふところへすり寄った。おくみの躯は燃えるように熱く、ふるえはなかなか止まらなかった。ものを云おうとすると、歯がかちかちと鳴った。

「さあ、眠るんだ」と甲斐が云った。

そして、まわしている手で、そっとおくみの肩を叩いた。彼女はそうされるうちに、やがて、声を忍ばせて泣きはじめた。甲斐は叩くのをやめた。

「私を憎むがいい」甲斐はおくみに囁いた、「私はこんな人間だ、八年まえに、私と会ったのがおくみの不運だったのだ」

おくみは泣きながら、激しく頭を振った。