Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
彼女の曾(かつ)ての円く張った滑(なめ)らかな足と手は、竹のように痩(や)せて来た。胸は叩(たた)けば、軽い張子のような音を立てた。そうして、彼女は彼女の好きな鳥の臓物さえも、もう振り向きもしなくなった。
彼は彼女の食慾をすすめるために、海からとれた新鮮な魚の数々を縁側に並べて説明した。
「これは鮟鱇(あんこ )で踊り疲れた海のピエロ。これは海老(えび)で車海老、海老は甲冑(かっちゅう)をつけて倒れた海の武者。この鰺(あじ)は暴風で吹きあげられた木の葉である」
「あたし、それより聖書を読んでほしい」と彼女は云った。
彼はポウロのように魚を持ったまま、不吉な予感に打たれて妻の顔を見た。
「あたし、もう何も食べたかないの、あたし、一日に一度ずつ聖書を読んで貰いたいの」
そこで、彼は仕方なくその日から汚(よご)れたバイブルを取り出して読むことにした。
「エホバよわが祈りをききたまえ。願くばわが号呼(さけび )の声の御前にいたらんことを。わが窮苦(なやみ )の日、み顔を蔽(おお)いたもうなかれ。なんじの耳をわれに傾け、我が呼ぶ日にすみやかに我にこたえたまえ。わがもろもろの日は煙のごとく消え、わが骨は焚木(たきぎ )のごとく焚(やか)るるなり。