Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

そうして、二人の自動車がある大通の前まで来かかったとき、ヨハンは右側に連った石造の建物を指差して、

「これはジャパンというカフェーです。ここでは一番のカフェーです」

と梶に告げた。しかし、それをよく見る間もなく車は辷(すべ)っていったとき「これは?」と梶が右側のを訊ねると「これはまだジャパンの続きです」とヨハンは答えた。梶は車の迅(はや)さでその外観の大きさを想像することが出来なかったが、それはもう原語の日本にさえ一つもない立派なことだけは確かだった。彼はひそかに驚くというよりももう黙った。

「あそこはこの国の芸術家が一番行くところです」とまたヨハンは附け加えた。

翌朝の彼の出発は早かった。通りに朝霧のような薄靄(うすもや)がこもっていた。滞在中梶はヨハンに支払うべき案内料を一度も質(ただ)さずにしまったが、五日間の料金は意外に少額ですんだ。彼は他に謝礼を出したいと思うのに、もう残りのハンガリヤ金は少く、財布をは叩(た)いてそれを出そうとすると、ヨハンは記念に日本へこの国の金銭を所持して帰って貰いたいと梶に頼んだ。

飛行場まで送って来てくれたヨハンと別れるときは、梶はその別れが辛(つら)かった。