Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
良く蹴りつけた。
「こりゃこりゃ」
定雄は次男の足の届かぬように屏風を遠のけると、また倦かず眺めていた。しかし、火鉢に火のあるのに、ひどくそこは寒かった。これではまた皆風邪にやられるどころか、定雄自身もう続けさまに嚔が出て来た。そのうちにようやく経の用意も出来たので本堂へ案内されたが、来てみると、ここは一層寒いうえに、勿論火鉢も座蒲団もなかった。定雄の横へ敏子、清と並んで、定雄の姉が彼の次男を抱いている傍へ千枝子が坐った。見渡したところ異常はなかったが、姉に抱かれている次男の突き出している足に、靴がまだそのままになっていた。しかし、次男の靴はまだ下へも降ろしたこともなく、足袋代りの靴と云えないものでもなかったので、定雄は注意もせずに黙って僧侶の出て来る方を眺めていると、姉はそれを見つけたらしい。
「あら、慶ちゃん、豪そうに靴を履いたままやがな。これゃどもならん」
と云って、笑いながら慶次の靴をとろうとした。
「良い良い」と定雄は云った。
「そうやな、愛嬌があってこれもお祖父さん、見たいやろ」
姉の言葉に慶次の靴を脱がそうとした千枝子もそのままにした。清と敏子とは仏壇の方を一度も見ずに、まだ石段からのふざけ合いをつづけながら、肩をつぼめて「くっくっ」