Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
と、見る間に、ナポレオンの口の下で、大理石の輝きは彼の苦悶の息のために曇って来た。彼は腹の下の床石が温まり始めると、新鮮な水を追う魚のように、また大理石の新しい冷たさの上を這い廻った。
丁度その時、鏡のような廻廊から、立像を映して近寄って来るルイザの桃色の寝衣姿を彼は見た。
彼は起き上ることが出来なかった。何ぜなら、彼はまだ、ハプスブルグの娘、ルイザに腹の田虫を見せたことがなかったから。ルイザは呆然として、皇帝ナポレオン・ボナパルトが射られた獣のように倒れている姿を眺めていた。
「陛下、いかがなさいました」
ボナパルトは自分の傍に蹲み込む妃の体温を身に感じた。
「ルイザお前は何しに来た?」
「陛下のお部屋から、激しい呻きが聞えました」
ルイザはナポレオンの両脇に手をかけて起そうとした。ナポレオンは周章てて拡った寝衣の襟をかき合せると起き上った。
「陛下、いかがなされたのでございます」
「余は恐ろしい夢を見た」
「マルメーゾンのジョゼフィヌさまのお夢でございましょう」
「いや、余はモローの奴が生き返った夢を見た」
と、ナポレオンは云いながら、執拗な痒さのためにまた全身を慄わせた。