Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
分っていてよ。あなたは、そう云う人なんですもの」
「お前と云う奴は、俺がどうすればいいと云うんだ。俺は、お前の病気をよくするために、薬と食物とを買わなければならないんだ。誰がじっとしていて金をくれる奴があるものか。お前は俺に手品でも使えと云うんだね」
「だって、仕事なら、ここでも出来るでしょう」と妻は云った。
「いや、ここでは出来ない。俺はほんの少しでも、お前のことを忘れているときでなければ出来ないんだ」
「そりゃそうですわ。あなたは、二十四時間仕事のことより何も考えない人なんですもの、あたしなんか、どうだっていいんですわ」
「お前の敵は俺の仕事だ。しかし、お前の敵は、実は絶えずお前を助けているんだよ」
「あたし、淋(さび)しいの」
「いずれ、誰だって淋しいにちがいない」
「あなたはいいわ。仕事があるんですもの。あたしは何もないんだわ」
「捜せばいいじゃないか」
「あたしは、あなた以外に捜せないんです。あたしは、じっと天井を見て寝てばかりいるんです」
「もう、そこらでやめてくれ。どちらも淋しいとしておこう。俺には締切りがある。今日書き上げないと、向うがどんなに困るかしれないんだ」