Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
またこのような幼い歌の蘇(よみがえ)って来たのは、欧洲では、やはりここだけだったと思った。一つは彼は、このハンガリヤについてはそれ以外の狂躁曲(きょうそうきょく)より何も知らぬ白紙の状態で、却(かえ)ってそれが彼の曇りを拭(ふ)き払っていたのかもしれぬ。もし行くさきの野の中に、ひな罌粟と河の他(ほか)何もなくとも、これで来てみただけのことはあったと思った。
ブダペストへ着いたときは四時すぎであった。罌粟の他は山一つ見えなかった原野の中に、百数十万の近代都市がただ一つ結晶している外貌(がいぼう)の印象は、ホテルの自分の部屋へ着いてからも、まだ梶の頭から離れなかった。駅からすぐホテルへ来るまでの道に、太い街路樹の多く見えたのが先(ま)ず彼を歓(よろこ)ばしたが、それより案内された自分の部屋が何より彼の気に入った。三十畳敷もある大きな部屋で、真赤な絨氈(じゅうたん)の上に、大きな二人寝の彫刻のある麗しい寝台が二台も置いてあって、それとはまた別に休息用の寝椅子もあり、浴室も附いていた。それは特別高価な部屋でもないに拘(かかわ)らず、一瞥(いちべつ)しても、先ず梶には贅沢(ぜいたく)にすぎた豪華なものだった。