Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
「あれらは音楽そのものですよ。本格のものもやれるのですが、やはり譜にあまり捉(とら)われてはおりません。そんなもの面白くないのでありましょう」
「ここの市民権もないのですね」
「ありません。日本語では何といいますか。渡り鳥、そう、あれです」
ヨハンの云うことは、ここしばらく渡り鳥の生活をしている彼には、特につよく胸に滲(し)みとおる語感でさみしく迫った。ダニューブの漣が終ると次ぎに、彼のまだ聞いたこともない悲調な楽器の音が流れて来た。
ヨハンはすぐ、
「あれはタローガッタといって、ハンガリヤ独特の木の楽器です。やっているものもこの国第一等の人です」と説明した。
窓から彼は下を覗(のぞ)いて見ると、真黒な尺八の形で裾(すそ)の方がやや開き加減の、クラリネットに似たものだった。
そのタローガッタの音は、初めは荒野をさまよう生活の音のようだったが、それが漸次(ぜんじ)に地にひれ伏す呻(うめ)きのように陰に籠(こも)り、太い遠吠(とおぼ)えの底おもくうねる波となり、草叢(くさむら)を震わせる絶え絶えな哀音に変ったかと思うと、押し襲ってくる雲霞(うんか)の大群のふくれ雪崩(なだ)れるような壮大な音になった。