Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
」
奥さんは、そう言って、いかにも心配そうに次郎を見た。
「いや、お前には知っていて貰った方がいいだろう。これからは、私がいなくても、急に本田の相談相手になって貰わなきゃならん場合もあるだろうからね。」
「あたしがご相談相手に?……どんなことでしょう。あたしに出来ますことか知ら。」
「くわしいことはあとで話すよ。……本田、どうだい、小母さんにだけは話してもいいだろう。」
「ええ。」
次郎は、少し顔を赧らめて答えた。彼は、朝倉先生がどんなつもりで奥さんだけに今日の話をしようというのか、その真意は少しもわからなかった。しかし、とにかく、自分のことを何もかも奥さんに知ってもらうことに少しも異存はなかったし、むしろそれにある悦びをさえ感じているのだった。
朝倉先生は、コップをのみほして、その底を手のひらで撫でながら、奥さんに向かって、
「それはそうと、こないだお前と話していたミケランゼロの話ね。」
「ええ。」
「あの話を今日本田にもきかしてやったんだよ。ちょうどぴったりするものだからね。」
「まあそうでしたの? そんなにぴったりしたんですの?」
奥さんは、少しはずんだ調子で、どちらにたずねるともなくたずねた。