Japanische Klassiker mit Furigana
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うたあんどん
歌行灯
泉 鏡花
Lesen Sie 歌行灯 (うたあんどん) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 36.094 Zeichen · 72 Bildschirme
傍に居た喜野が見かねて、私の袖を引きに来た。
先刻から、ああ、こうと、口の酸くなるまで、機嫌を取るようにして、私が和女の調子を取って、よしこの一つ上方唄でも、どうぞ三味線の音をさしておくれ。お客様がお寂しげな、座敷が浮かぬ、お見やんせ、蝋燭の灯も白けると、頼むようにして聞かいても、知らぬ、知らぬ、と言通す。三味線は和女、禁物か。下手や言うて、知らぬ云うて、曲なりにもお座つき一つ弾けぬ芸妓がどこにある。
よう、思うてもお見。平の座敷か、そでないか。貴客がたのお人柄を見りゃ分るに、何で和女、勤める気や。私が済まぬ。さ、お立ち。ええ、私が箱を下げてやるから。」
と優しいのがツンと立って、襖際に横にした三味線を邪険に取って、衝と縦様に引立てる。
「ああれ。」
はっと裳を摺らして、取縋るように、女中の膝を竊と抱き、袖を引き、三味線を引留めた。お三重の姿は崩るるごとく、芍薬の花の散るに似て、
「堪忍して下さいまし、堪忍して、堪忍して、」と、呼吸の切れる声が湿んで、
「お客様にも、このお内へも、な、何で私が失礼しましょう。ほんとに、あの、ほんとに三味線は出来ませんもの、姉さん、」