Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme
「道阿弥話」が彼女を目して生れつき虐を好む婦人であったと為す所以は、主として此処に存するのであるが、「見し夜の夢」に依ると、彼女は河内介に向って下のように告白している。
そのとき桔梗の方おんなみだのうちに仰せけるは、世にわが身ほどうたてきものゝあるべきや、たとひ仇の子なりとも夫に持ちしうへからは憎からずおもひ侍るものを、かゝる恐ろしき復讐を企てぬるは、いかなる前世のやくそくにやあらん。さらでだに女人は罪ふかきものときくからに定めし来世は地獄にやおち侍るべき。されど神佛も照覧あれ、まことにこのことわが本意には侍らず、ひとへに父の妄執のわが胸にやどりわが耳にさゝやくまゝに思ひたちて侍りしぞかし。………
畢竟彼女は、鼻を失った舅や婿の有様をはっきりと自分の眼底に映し止め、われとわが心に納得させなければ、―――たゞ簡単に彼等を殺してしまうだけでは、―――夜な/\睡りを脅やかす無気味な夢魔を追い拂うことが出来なかったのであろう。彼女が故なく夫を不具にして楽しむような婦人でなかったことは、筑摩家滅亡の後に於ける行動を見ても明かである。「たとひ仇の子なりとも憎からず思ひ侍る」