Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶしゅうこうひわ
武州公秘話
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme
、懐中より一通の密書を取出し給ふ。則重公その書を披き見給ふに、槍垣御坊より和泉守へ差立てたる文の態にて、東西より筑摩家の領内へ攻入らんとする相図の状に紛れもなし。さるにても何処より此の状を手に入れ候哉と被レ仰ば、薬師寺家の舊臣的場新三郎と申し候者、北の方の乳兄弟にてありけるが、不レ計も件の密書を得て御乳人の許へ注進致候由を被レ仰。則重公由々敷事に被二思召一早々に老臣共を召されて此事如何あるべきと御諚ありければ、老臣共申すやう、抑も檜垣の門徒衆は年頃別而昵近に致し、先々代以来無二の忠義を励み候者共に候、然れば逆臣和泉守に加担して当家へ弓を引かんこと最も其謂れなく候間、此の状軽々に信ずべきにあらず、旁征伐の議は篤と御思案あって可レ然とぞ申しける。則重公聞召され、其方共わが妻の言を疑ふやとて御気色悪敷奥の間へ入給ひけるが、其後も北の方様々に歎き被レ申、仮令此状に不審ありとも一向宗の輩は和泉守に力を合せ兄淡路守を逐ひ侍りしこと隠れもなし、されば檜垣の衆とても必定敵にて侍るものを早や/\誅戮を加へて賜べとて、夜な/\掻口説き給ける。然るにいかゞしたりけん、此事いつしか檜垣へ洩れ聞えければ、宗徒共意外の思ひをなし、我等年来筑摩殿に対し少しも異心を存ぜざりしところに故なく討手を向けらるゝこそ安からね、よし其儀ならば坐し