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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme

Aozora Bunko

ところが法師丸は、自ら戦場へ出ることを禁制されているのである。それは何とかして忍び出る道があるとしても、第二の難関は、自分で目ぼしい敵を組み伏せて、その男の首と鼻とを斬らねばならない。そうして自分が斬ったことを秘密にして、誰か外の者の名義で、それを首尾よくあの女の手へ廻すようにするのである。但し戦陣の功名は、その場でそれを目撃していた證人を必要とするのであるが、此の場合の法師丸は、手柄を立てるのが目的でなく、たゞあの女が鼻の缺けた首を眺めてほゝえむ光景を見れば済むのである。だから一番やさしい方法は、戦場にころがっている屍骸の中から、恰好な奴を見つけて、その首を斬り、贋の證人を拵えるか、雑兵どもを買収すればよい訳だけれども、それは法師丸の武士の良心が許さなかった。弓馬の家に生れながら、そんな卑怯なことは出来ない。飽くまで自分の力を以て敵を斃すのだ。そうして其奴の首を刎ね、鼻を斬るのだ。法師丸は誰の智慧をも借りることが出来ないので、人知れず肝胆を砕いた。彼には又、早く秘策を廻らさないと、いつあの女たちが交代するかも知れないと云う懸念があった。彼がこう云う不思議な希望と計畫とを胸に育てゝいる一方、寄手と味方とは本丸と二の丸の境目のところで毎日血みどろな攻防戦を続けつゝあった。