Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
小山は黙って描く、自分は黙って煙草をふかす、四囲は寂然として人声を聞かない。自分は懐から詩集を取り出して読みだした。頭の上を風の吹き過ぎるごとに、楢の枯れ葉の磨れ合う音ががさがさとするばかり。元来この楢はあまり風流な木でない。その枝は粗、その葉は大、秋が来てもほんのりとは染まらないで、青い葉は青、枯れ葉は枯れ葉と、乱雑に枝にしがみ着いて、風吹くとも霜降るとも、容易には落ちない。冬の夜嵐吹きすさぶころとなっても、がさがさと騒々しい音で幽遠の趣をかき擾している。
しかし自分はこの音が嗜きなので、林の奥に座して、ちょこなんとしていると、この音がここでもかしこでもする、ちょうど何かがささやくようである、そして自然の幽寂がひとしお心にしみわたる!
自分はいつしか小山を忘れ、読む書にもあまり身が入らず、ただ林の静けさに身をまかしていると、何だか三、四年前まで、自分の胸に響いたわが心の調べに再び触れたような心持ちがする。
『兄さん!』と小山は突然呼んだ、『兄さん、人の一生を四季にたとえるようですが、春を小生のような時として、小春は人の幾歳ぐらいにたとえていいでしょう』