Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
その後二週間ほどたって、自分は用談の客と三時間ばかり相談をつづけ、客が帰ったあとで、やや疲れを覚え、横になったまま庭をながめて秋の日影がだんだんと松の梢をのぼって次第に消えてゆくのを見ながら、うつらうつらしていた。すると玄関で『頼もう!』と怒鳴る声がした。自分はすぐ、『来たな!』と思った。
果たしてかれであった。
『どうだその後は?』これがかれの開口第一のあいさつであった。自分が慇懃にあいさつする言葉を打ち消して、『いやそうあらたまれては困る。』かれは酒気を帯びていた。
『これが土産だ。ほかに何にもない、そら! これを君にくれる、』と投げだしたのは短刀であった。自分はその唐突に驚いた。かかる挙動は決して以前のかれにはなかったのである。自分はもう今日のかれ、七年前のかれでないことを悟った。『これは右手指といって、こういう具合にさすので、』かれは短刀を拾って後ろざまに帯にさした。『敵を組み伏せた時、左でこう敵を押えて右でこうぬいて、』かれの身振りはさすがに勇ましかった、『こう突くのだ。』そしてかれは『あはははは』と笑った。すべてその挙動がいかにもそわそわしていた。