Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
されど片目の十蔵がかく語りしものを痛きことかなと妹は眼をみはり口とがらせ耳をおおいて叫びぬ。たちまち姉は優しく妹の耳に口寄せて何事かささやきしが、その手をとりて引き立つれば妹はわれを見て笑みつ、さて二人は唄うこともとのごとくにしてかなたに去りぬ。
げに見すぼらしき後ろ影、蓬なす頭、色あせし衣、われはしばしこれを見送りてたたずみぬ。この哀れなる姿をめぐりて漂う調べの身にしみし時、霧雨のなごり冷ややかに顔をかすめし時、一陣の風木立ちを過ぎて夕闇嘯きし時、この切那われはこの姉妹の行く末のいかに浅ましきやを鮮やかに見たる心地せり。たれかこの少女らの行く末を守り導くものぞ、彼ら自ら唄いて自ら泣く時も遠くはあるまじ。
急ぎて裏門を出でぬ、貴嬢はここの梅林を憶えたもうや、今や貴嬢には苦しき紀念なるべし、二郎には悲しき木陰となり、われには恐ろしき場処となれり。門を出ずれば角なる茶屋の娘軒先に立ちてさびしげに暮れゆく空をながめいしが、われを見て微かに礼なしぬ、貴嬢はこの娘を憶えいたもうや。賤しきこの娘を。
二郎はすでに家にあらざりき、叔母はわれを引き止めてまたもや数々の言葉もて貴嬢を恨み、この恨み永久にやまじと言い放ちて泣きぬ、されどいずこにかなお貴嬢を愛ずる心ありて恨めど怒り得ぬさまの苦しげなる、見るに忍びざりき。