Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
二郎はいたく酔い、椅子の背に腕を掛けて夢現の境にありしが、急に頭をあげて、さなりさなりと言い、再び眼を閉じ頭を垂れたり。
もし君が言わるるごとくば世には報酬なくして人の愛を盗みおおせし男女はなはだ多しと、十蔵はいきまきぬ。
われ、なんじの妻のごときをいえるにや。
あらず、あらず、彼女は犬にかまれて亡せぬ、恐ろしき報酬を得たりと答えて十蔵は哄然と笑うその笑声は街多き陸のものにあらず。
二郎は頭あげて、しからばかのふびんなる少女もついには犬にかまるべきか。
犬や犬や浮世の街にさすろうもの犬ならざるいくばくぞ、かみつかまれつその日と夜を送り、そのほゆる声騒がしく、とてもわれらの住み得べきにあらず、船を家となし風と波とに命を託す、安ければ買い高ければ売り、酒あれば飲み、大声あげて歌うもわがために耳傾くるは大空の星のみ――月さゆる夜は風清し、はてなき海に帆を揚げて――ああ君はこの歌を知りたもうや――月さゆる夜は風清し――右を見るも左を見るも島影一つ見えぬ大海原に帆を揚げ風斜めに吹けば船軽く傾き月さえにさえて波は黄金を砕く、この時舷に立ちてこの歌をうたうわが情を君知りたもうや、げに陸を卑しみ海を懼れぬものならではいかでこのこころを知らんや、ああされど君は知りたもう――