Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme

Aozora Bunko

すると後ろの森の方でガサゴソと妙な音がした。この時サ、僕は振り向いて見ようとしたが、待て! こんな事では到底だめだ、たといまずかろうがまずいからこそ勉強して画くのだ、奉納絵を画いてもいいという決心はどうした、一心不乱とはここの事だ、たとい耳のそばで狼がほえようが心を取り乱し気を散じないくらいでなければならないのが、森の奥でちょっと音がしたって、すぐそれに気を取られるようでどうするかと、今度はまずくても何でもずんずん画いていると、ゴソッ、ガサッという音がだんだん近づいて来るようで気になってならない、その音がまたすこぶる妙なので、ちょうど僕が一心に画いているのをつけこんで後ろから何者か、忍び足に僕をねらうように思われる。さアそう思うと振り向いて見たくッてたまらない。しかし一たん見まいと決心したからには意地が出て振り向くのが愧かしく、また振り向くと向かないのとで僕の美術家たり得るや否やの分かれ目のような気がして来た。

またこうも思った、見る見ないは別問題だ、てんであんな音が耳に入るようでそれが気になるようでそのために気をもむようではだめなんだ。もし真にわが一心をこの画幅とこの自然とに打ち込むなら大砲の音だって聞こえないだろうと。