Japanische Klassiker mit Furigana
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しのふちより
死の淵より
高見 順
Lesen Sie 死の淵より (しのふちより) von 高見 順 (たかみじゅん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.084 Zeichen · 38 Bildschirme
食道はこっちから金をつけて人手に渡した
魂よ
生は爆発する火山の熔岩のごとくであれ
おまえはかねて私にそう言っていた
感動した私はおまえのその言葉にしたがった
おまえの言葉を今でも私は間違いだとは思わないが
あるときほんとの熔岩の噴出にぶつかったら
おまえはすでに冷たく凝固した熔岩の
安全なすきまにその身を隠して
私がいくら呼んでも出てこなかった
私はひどい火傷を負った
おまえは私を助けに来てはくれなかった
幾度かそうした眼に私は会ったものだ
魂よ
わが食道はおまえのように私を苦しめはしなかった
私の言うことに黙ってしたがってきた
おまえのようなやり方で私をあざむきはしなかった
卑怯とも違うがおまえは言うこととすることとが違うのだ
それを指摘するとおまえは肉体と違って魂は
言うことがすなわち行為なのであって
矛盾は元来ないのだとうまいことを言う
そう言うおまえは食道がガンになっても
ガンからも元来まぬかれている
魂とは全く結構な身分だ
食道は私を忠実に養ってくれたが
おまえは口さきで生命を云々するだけだった
魂よ
おまえの言葉より食道の行為のほうが私には貴重なのだ
口さきばかりの魂をひとつひっとらえて