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Japanische Klassiker mit Furigana

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ししゃのけんり

死者の権利

浜尾 四郎

Lesen Sie 死者の権利 (ししゃのけんり) von 浜尾 四郎 (はまおしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.854 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

小夜子から春一に宛てられた手紙は、後に参考として裁判所に出されたものでしたが、いかにも、今すてられ行かんとする女の気持をよく現わして居ります。

無論順序通り、先ずはじめには離れ行かんとする男の心をどうかして再びもとに戻そうと、必死の努力をしています。こうした情緒纏綿たる手紙が春一に数通送られています。二人で会った時も恐らくこういう態度をとっていたのでしょう。

然るに二十日ほど経ってからの数通の手紙は内容が大分変って来ています。いよいよ駄目だと知った彼女は殆ど捨鉢の気持になっています。之には男に対する恨みが深刻に描かれています。私はこの時の小夜子の手紙、即ち春一の態度に対する多くの批難の書かれている手紙を、春一が全部完全に保存しておいたとは信じません。彼は自分に不利なものを必ず破り捨てているでしょう。だから私の見た手紙はその中の或るもの、しかも男の態度の悪い所が比較的はっきり表われていないものと考えますから実際はもっともっと烈しいものだったに違いありませぬ。

然るに十一月半頃になってからの小夜子の手紙は又変化を示しています。之は自然の推移かも知れませんが、此のころに至って小夜子は余程の決心をしたらしく、春一に対して脅かしの手紙が送られています。