Japanische Klassiker mit Furigana
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はは
母
Lesen Sie 母 (はは) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.223 Zeichen · 15 Bildschirme
私は、くるしいくらいに泥酔していた。地方文化、あなどるべからず、ナンマンダ、ナンマンダ、などと、うわごとに似たとりとめない独り言を呟いて、いつのまにか眠ったようだ。
ふと、眼をさました。眼をさました、といっても、眼をひらいたのではない。眼をつぶったまま覚醒し、まず波の音が耳にはいり、ああここは、港町の小川君の家だ、ゆうべはずいぶんやっかいをかけたな、というところあたりから後悔がはじまり、身の行末も心細く胸がどきどきして来て、突然、二十年も昔の自分の奇妙にキザな振舞いの一つが、前後と何の聯関も無く、色あざやかに浮んで来て、きゃっと叫びたいくらいのたまらない気持になり、いかん! つまらん! など低く口に出して言ってみたりして、床の中で輾転しているのである。泥酔して寝ると、いつもきまって夜中に覚醒し、このようなやりきれない刑罰の二、三時間を神から与えられるのが、私のこれまでの、ならわしになっているのだ。
「すこしでも、眠らないと、わるいわよ。」
まぎれもなく、あの女中の声である。しかし、それは私に向って言ったのではない。私の蒲団の裾のほうに当っている隣室から、ひそひそと漏れ聞えて来る声なのである。