Japanische Klassiker mit Furigana
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すいちゅうのかいじん
水中の怪人
山本 周五郎
Lesen Sie 水中の怪人 (すいちゅうのかいじん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.922 Zeichen · 18 Bildschirme
そういう切出しで、津川がなにか人にかくして秘密な仕事をしていなかったか、変ったことでも見なかったかとたずねた。しかし吉岡技手はなにも知らなかった。
「ただ時々こんなことを云ってました」と最後に若い技手は云った。
「僕の名はいまにきっと世界的になるよ。そして億万長者になってみせるって――訳は云いませんが、そんなことを二三度聞きました」
「――それだけですね」
文吾は失望して工場を出た。
その他にも津川を知っている者はないかとさがし廻ったが、よほど用心ぶかい男とみえて、親しくつきあった者は他に誰もなかった。つまり唯一の手がかりは、
――僕はいまに億万長者になる。
と云った言葉だけである。
二十二日の午後まで、まる二日のあいだ、文吾は八方にかけ廻った。けれどついになんの得るところもなかった。
そして「河童第一号」の命ずる時間は刻々にせまってきた。
「私は設計図を守る!」
鹿島社長は悲痛な決意を示して云った。
「啓吉に可哀そうだが、この設計図がもし外国人の手にでも渡るようなことがあると、私は売国奴と同じ結果になる。――私は敬吉をあきらめた。啓吉もよころんで死んでくれるだろう」