Japanische Klassiker mit Furigana
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すいちゅうのかいじん
水中の怪人
山本 周五郎
Lesen Sie 水中の怪人 (すいちゅうのかいじん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.922 Zeichen · 18 Bildschirme
果して来たきた! 赤封筒の脅迫状
つまり人間くらいの大きな蛙がいるとすれば、こんな足跡がつくだろう。
「……窓からきたんだわ」
良子が震えながら云った。
「扉にはちゃんと鍵がかかっていたんですもの」
「窓の外は海ですよ」
「海から入ってきて海へ帰ったのよ」
良子がなにを云いたがっているか、文吾にはよく分っていた。
「啓ちゃんを呼んできましょう」
文吾は良子の腕をとって甲板へもどった。
しかしそこにはもう啓吉の姿はみえなかった。みえなかったばかりではない。椅子が倒れているし、敬吉のポケットから落ちたらしい手帳や万年筆がちらばっている。
「平林さん、あれ、あの足跡!」
良子の指さすところをみると、倒れた椅子と舷側とのあいだに、ぬれた大きな足跡がありありと印されてあった。船室にあったのと同じ足跡が……。
疑うまでもなく、船室へしのびこんだ奴が、敬吉を海へさらっていたのだ。――ぞっとして、良子は思わず文吾にしがみついた。
「河童だわ、ああこわい!」
果して来たきた! 赤封筒の脅迫状
文吾の急報で「葵丸」はけたたましく非常汽笛を鳴らしながら停船した。
一方では船内をさがし、一方ではランチをおろして海面をさがした。