Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「どうだ。この頃は主人の首尾もいいか」
「はい」と、お光はにこにこしていた。お内儀さんは相変らず可愛がってくれて、このあいだも半襟を下すった。古参の女中のお兼さんも、こっちが素直に受けているので、この頃ではだんだんに打ちとけて来た。この分ならばちっとも居づらいことはない。どうぞ安心してくれと、彼女は嬉しそうに話した。
その晴れやかな顔を見るに付けても、栄之丞はこの正月のことが思い出された。あの時に八橋というものがなかったら、妹は勿論のこと、自分もどんなに苦しい思いをしたかも知れない。金は次郎左衛門の懐ろから出たにしても、つまりは八橋に救われたのである。その時すぐに金を届けてやると、お光は泣いて喜んだ。主人は満足した。それから二、三日経つと、お光は礼手紙を書いて、ついでの時にそれを八橋さんに届けてくれと兄にくれぐれも頼んで行った。そうして、今度の事が首尾よく済んだのもみんな八橋さんのお蔭であるから、兄さまもどうぞ忘れないでくれと、栄之丞がこの頃とかくに八橋に遠ざかっているのを、それとなく注意するように言って帰った。
栄之丞は少し迷惑したが、その手紙を握り潰してしまうのも妹に対してなんだか義理が悪いように思われるので、さらに二、三日経ってから吉原へ届けに行った。