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Japanische Klassiker mit Furigana

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かごつるべ

江戸情話集

岡本 綺堂

Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme

Aozora Bunko

いくら花魁の、太夫のと、うわべばかりに綺羅を飾っても、わたし達の身の果てはどう成り行くやら。仕合せに生まれた人たちと不仕合せに生まれた者とは、こうも人間の運が違うものか。返すがえすもお前さん達が羨ましくてならない。

こう言ううちにも綾衣はやるせないように胸を抱えて、しばたたく睫毛には白い露が忍んでいた。深いわけは知らないながらも、お米もなんだか引き入れられるように心さびしくなって、さっきの恨みとはまた違った悲しみに、あたらしい涙がおのずと湧き出るのを押さえることができなかった。

「実はそういう訳なんだから、このお人のことを決して誰にも言うんじゃないぜ」と、十吉は固く念を押した。お米は決して他言はしないといった。両親にさえも言わないと誓った。

世間をおそれる身が長く端居はできないので、二人の仲直りを見とどけて綾衣は早々に奥へはいった。昼でも暗い納戸には湿って黴臭い空気がみなぎっていた。人を慕ってすぐに襲って来る藪蚊の唸り声におびやかされて、綾衣はあわてて渋団扇を手にとった。

間違って人に妬まれた我が身が、今はかえって人を妬ましいように思わなければならなかった。