Japanische Klassiker mit Furigana
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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
Lesen Sie 江戸芸術論 (えどげいじゅつろん) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 85.130 Zeichen · 167 Bildschirme
浮世絵は最早吹きぼかしと雲母摺の二術を後世の画工に托せしのみにして、その佳美なる制作品は世人をして汎く吾妻錦絵と呼ばしむるに至れるなり。
春信はわが工芸史上、彩色板刻術の完成者たる名誉を担ふと共に、また浮世絵画面の大きさを決定したる功績を有す。菱川奥村及び鳥居派の墨摺絵また丹絵には頗る大形の紙を用ゐたる大判のものありしが、二色摺(紅絵)に至りて浮世絵板画は漸く二種の定まりたる形式を取りぬ。一ツは小形の竪絵にして、一ツは極めて細長き柱絵(柱かくし絵また長絵)なり。春信は紅絵より転じて錦絵を制作するに当り、紅絵の取り来りし小形の竪絵を改めて方形となしぬ。これ人物と背景との布局を整頓せしめ、以て純然たる一幅の画をなさしむるに便なるがためなり。彼は紅絵に見るが如く空間を白紙のままに残す事を許さず、壁、天、地等にそれぞれ淡く軟かき色を施し以て画面に一種の情調を帯ばしめたり。これ浮世絵の人物板画がその背景の色調に注意し初めし最初の現象にして、彼は明和二年錦絵発明の後、板刻の技術の漸く進歩するに従ひ次第に背景を綿密ならしめ、河流、庭園、海浜等の風景を描き出しぬ。