Japanische Klassiker mit Furigana
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きせんのなかのちちとこ
汽船の中の父と子
小川 未明
Lesen Sie 汽船の中の父と子 (きせんのなかのちちとこ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 4.175 Zeichen · 9 Bildschirme
なかには、自分の持っている品を、ほかの人の持っている品と交換したりするものもあったのです。
二人は、この港に上がって、ぶらぶらと歩いていました。すると、白いひげをはやしたおじいさんが、石に腰をかけて、銀製のオルゴールを持って、前を通る人をぼんやりとながめていました。
父親は、オルゴールに目をつけて、おじいさんの前にやってきました。そして、どんな音がするのかとたずねたのでした。
おじいさんは、父親の顔を見ながら、
「私は、このオルゴールを、ここから遠い、西の国の村の古道具屋で見つけました。じつに、不思議な音がするので、いままで、多くの人々に譲ってくれと頼まれましたけれど、手放さなかった品です。」と答えました。
「どれ、ひとつ、その音をきかせてもらえまいか。長い間、海の上に暮らしているので、しばらく、いい楽器の音色をきいたことがないから……。」と、父親はいいました。
おじいさんは、オルゴールを鳴らしはじめました。すると、父親は、耳を傾けていました。
なんというさびしい、その中にも、明るい感じのする音色でしょう。波の音のような、鳥の鳴く声のような、また風の狂う響きのような、さまざまな音のする間に、いろいろなことが空想されるのでした。