Japanische Klassiker mit Furigana
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ちんもくのとう
沈黙の塔
Lesen Sie 沈黙の塔 (ちんもくのとう) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.131 Zeichen · 12 Bildschirme
高い塔が夕の空に聳えている。
塔の上に集まっている鴉が、立ちそうにしてはまた止まる。そして啼き騒いでいる。
鴉の群れを離れて、鴉の振舞を憎んでいるのかと思われるように、鴎が二三羽、きれぎれの啼声をして、塔に近くなったり遠くなったりして飛んでいる。
疲れたような馬が車を重げに挽いて、塔の下に来る。何物かが車から卸されて、塔の内に運び入れられる。
一台の車が去れば、次の一台の車が来る。塔の内に運び入れられる品物はなかなか多いのである。
己は海岸に立ってこの様子を見ている。汐は鈍く緩く、ぴたりぴたりと岸の石垣を洗っている。市の方から塔へ来て、塔から市の方へ帰る車が、己の前を通り過ぎる。どの車にも、軟い鼠色の帽の、鍔を下へ曲げたのを被った男が、馭者台に乗って、俯向き加減になっている。
不精らしく歩いて行く馬の蹄の音と、小石に触れて鈍く軋る車輪の響とが、単調に聞える。
己は塔が灰色の中に灰色で画かれたようになるまで、海岸に立ち尽していた。
* * *
電灯の明るく照っている、ホテルの広間に這入ったとき、己は粗い格子の縞羅紗のジャケツとずぼんとを着た男の、長い脚を交叉させて、安楽椅子に仰向けに寝たように腰を掛けて新聞を読んでいるのを見た。