Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あぶらじごく

油地獄

斎藤 緑雨

Lesen Sie 油地獄 (あぶらじごく) von 斎藤 緑雨 (さいとうりょくう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.624 Zeichen · 69 Bildschirme

Aozora Bunko

勘定を御序にと云れるようになれば、遊びはもっとも入易いが、それが後に囲みをもっとも出難い所で、お気の毒さま今日は六畳が塞がってと、表寄りの九畳へ案内された貞之進は、かつて寄席で買て来た古い奴を、浮雲い調子で小歌に話懸けて居る処へ、面白そうですねと例の婢が這入って来て、その話を中途で引取ってしまったが、そうなると貞之進には詞が出ない、又初めの沈黙に帰って居ると、婢は小歌の頭髪を見て、洗ったね何だか低ったようだよそれに鬢がと云って手を掛けようとするを、何でもいゝんだよこれが好きだって、おやそうだれが、良人がさ、あきれるよ良人があり過て当りの附かない方じゃないか、千いちゃんじゃア有るまいしとともに笑った。貞之進の黒の羽織の疑念がなお存する処へ、良人という詞を聞て今日は妬ましいよりは心細いように思われ、いつもの如く後の床柱へ凭れて、虚と実と二つの竜が肚裡で闘って居ると、歌ちゃんはこの頃のろけ癖が附いたよと婢が云うを、のろけたッて宜じゃアないか亭主の前でのろけるのだものと立どころに応えて、貞之進の淋しそうな顔をじろりと視ると、あなたいつ歌ちゃんをお神さんになすったの、御披露がありませんねと笑って同く婢も貞之進の顔を視た。