Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

勘三はいささか酒乱の相がある。

啓吉は、最早、母が遠くなったと泣くどころではなかった。躯中に鐘を打つような動悸がして来た。

「叔父さんお家へ帰ろうよッ」

「ううん、判った判った、お家もよかろう。女房も伸ちゃんもよかろう。が、さてだね――人生はそんなびくびくしたもンじゃないよ。ええ? 活発に歩かンけりゃいかん。ねえ姐さんや……」

おでん屋の若い女主人は、唇元へ手をあててただおほおほ笑っている。

「どうだい? 啓坊、お前みたいなものは、出世出来ンぞ! 何だ! びくびくして、秀吉と蜂須賀小六の話を知らんのかねえ……」

勘三は懐から原稿の束を出すと、一つ一つ題を読みあげていった。

「一、臍問答、二、風や海や空、三、瘰癧のある人生、四、不格好な女、五、鍛冶屋同士の耳打話と、どうだい、どれだって面白そうじゃないか、それなのに、これが一本の酒手にもならんというのだから不思議だよ……」

卓子には徳利が七本になった。

啓吉と同じ位の厚化粧した女の子が、「唄わして頂戴よ、お客さん」と這入って来た。啓吉は、吃驚して勘三をつついた。

「ああいくらでも唄いな。人生唄いたいだらけだ。