Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

どら俺が一つ唄ってやろう……」

風と波とにさそわれて

今日も原稿書いてます

酒も飲めない原稿を

風と波とにだまされて……

啓吉は、立ち上って一人で戸外へ出て行った。

九

――この車庫二階尺八教習所・都山流水上隆山――一台も自動車の這入っていないガレージの横に、ペンキ塗りのこんな看板が出ている。

鍵の抜けたピアノのようながらんとした車庫の中へ這入ると、ドスンドスンと跫音が天井へ響く。

「おい、小僧! 待ってな、いいかい」

啓吉は泥まみれな足で、車庫の入口につっ立っていた。酔っぱらいの叔父さんなんかどうでもいいや、俺は発明家になってやるんだから、そう力んでいても、看板の上の五燭の電灯がまるで、一つ目小僧のようで、啓吉の胸の中は鳴るような動悸がしている。

「おい! 小僧ッ、馬穴をやるから足を洗って その鉄梯子から上って来な」

ガレージの隅がほのあかるくなった。そこから鉄梯子がさがっていて、小さい馬穴が紐にぶらさがって降りて来た。啓吉は尺八を吹く男の、大きな下駄を持って、水道のそばへ行った。黒い駄犬が啓吉にもつれついて来た。

小僧小僧だなんて、大人になったら大学へ行くんだのに莫迦にしてらア、啓吉は、よく母親のところへやって来る「小僧小僧」