Japanische Klassiker mit Furigana
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あさまふんかこう
浅間噴火口
豊島 与志雄
Lesen Sie 浅間噴火口 (あさまふんかこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.938 Zeichen · 24 Bildschirme
蒼白い痩せた神経質らしい男だった。
丁度四日前、別所と李とは印刷所で一緒に仕事をしていた。そこへ「パルプ」の同人が二人はいって来た。一人は学校を出て就職もせずに遊んでる男で、一人は或る短歌雑誌の編輯を手伝ってる断髪洋装の女だった。二人は別所と暫く話をしていたが、急に別所の顔色が変った。沈黙がきた。男は煙草を吹かし、女はそっぽを向き、それから二人は黙って出て行った。その直後、別所は二三歩後を追いかけたが、いきなり卓子の上の灰皿を掴んで地面に叩きつけた。李が横合からその腕を捉えた。
「見ぐるしいことをするな。」
別所は敵意ある眼を李に向けた。
「何が見ぐるしいんだ。」
「みな、凡て、見ぐるしい。」
別所は口をひきつらしたが、突然気が挫けたように、下を向いて、灰皿の陶器の破片を蹴散らした。
それきり二人とも口を利かなかった。
ただそれだけのことだったが、それが変に不安な印象を人々に与えた。江原と他の職工達が彼方で働いていたが、事の次第は咄嗟のこととてよく分らず、そのため一層不安な印象が深かった。それから二時間ばかりしてから、李と別所とは連れだって帰っていった。