Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
あさまふんかこう
浅間噴火口
豊島 与志雄
Lesen Sie 浅間噴火口 (あさまふんかこう) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.938 Zeichen · 24 Bildschirme
一
坂の上の奥まったところにある春日荘は、普通に見かける安易なアパートであるが、三つの特色があった。一つは、その周囲や庭にやたらと椿の木が植えこんであること。これは、経営者たる四十歳を過ぎた未亡人椿正枝の、感傷とも自負とも云える事柄で、はじめは椿の姓にちなんで春木荘と名づけられそうだったのが、春日荘となった代りに、多くの椿の植込が出来たのである。花時には、赤や白の一重や八重が美事だった。次には、室代が他の同類のアパートより少し高いこと。高いといっても一畳につき二十銭程度だろうが、これでも居住人選択のためには多少の役割をなした。第三には、一種の道徳が居住人全般に課せられていること。例えば、アパート内では禁酒であり、外泊の場合は必ず、予告するか電話をかけるかしなければならず、其他これに類する事柄である。女の独り者は、下等な妾か女給のたぐいだとして、居住を許されなかった。その代り、正枝は凡ての居住者を、道徳的には厳格に人情的にはやさしく、親身に世話してやった。月に一円女中に払えば、毎朝室の掃除もして貰えた。
居住者の李永泰が、無断で三日も帰って来ず、何処へ行ったか分らなくなったことは、だから、春日荘にとっては稀有の事柄だった。