Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

三十分たち、一時間たつ。今に起きて来るか、と思えば、肉癢ゆい。髪の寐乱れた、顔の蒼ざめた、腫瞼の美人が始終眼前にちらつく。

「昨日下宿しようと騒いだは誰で有ッたろう」と云ッたような顔色……

朝飯がすむ。文三は奥坐舗を出ようとする、お勢はその頃になッて漸々起きて来て、入ろうとする、――縁側でぴッたり出会ッた……はッと狼狽えた文三は、予て期した事ながら、それに引替えて、お勢の澄ましようは、じろりと文三を尻眼に懸けたまま、奥坐舗へツイとも云わず入ッてしまッた。只それだけの事で有ッた。

が、それだけで十分。そのじろりと視た眼付が眼の底に染付いて忘れようとしても忘れられない。胸は痞えた。気は結ぼれる。搗てて加えて、朝の薄曇りが昼少し下る頃より雨となッて、びしょびしょと降り出したので、気も消えるばかり。

お勢は気分の悪いを口実にして英語の稽古にも往かず、只一間に籠ッたぎり、音沙汰なし。昼飯の時、顔を合わしたが、お勢は成りたけ文三の顔を見ぬようにしている。偶々眼を視合わせれば、すぐ首を据えて可笑しく澄ます。それが睨付られるより文三には辛い。雨は歇まず、お勢は済まぬ顔、家内も湿り切ッて誰とて口を聞く者も無し。