Japanische Klassiker mit Furigana
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うきぐも
浮雲
二葉亭 四迷
Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme
お政は、いうまでもなく、死灰の再び燃えぬうちに、早く娘を昇に合せて多年の胸の塊を一時におろしてしまいたいが、娘が、思うように、如才なくたちまわらんので、それで歯癢がって気を揉み散らす。昇はそれを承知しているゆえ、後の面倒を慮って迂濶に手は出さんが、罠のと知りつつ、油鼠の側を去られん老狐の如くに、遅疑しながらも、尚おお勢の身辺を廻って、横眼で睨んでは舌舐りをする(文三は何故か昇の妻となる者は必ず愚で醜い代り、権貴な人を親に持った、身柄の善い婦人とのみ思いこんでいる)。お政は昇の意を見抜いてい、昇もまたお政の意を見抜いている※しかも互に見抜れていると略ぼ心附いている。それゆえに、故らに無心な顔を作り、思慮の無い言を云い、互に瞞着しようと力めあうものの、しかし、双方共力は牛角のしたたかものゆえ、優もせず、劣もせず、挑み疲れて今はすこし睨合の姿となった。総てこれ等の動静は文三も略ぼ察している。それを察しているから、お勢がこのような危い境に身を処きながら、それには少しも心附かず、私欲と淫欲とが爍して出来した、軽く、浮いた、汚わしい家内の調子に乗せられて、何心なく物を言っては高笑をする、その様子を見ると、手を束ねて安座していられなくなる。