Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいいき

海異記

泉 鏡花

Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

夕空にむらむらと嶽の堂を流れて出た、一団の雲の正中に、颯と揺れたようにドンと一発、ドドド、ドンと波に響いた。

「三ちゃん、」

「や、また爺さまが鴉をやった。遊んでるッて叱られら、早くいって圧えべい。」

「まあ、遊んでおいでよ。」

と女房は、胸の雪を、児に暖く解きながら、斜めに抱いて納戸口。

十三

「ねえ、今に内の人が帰ったら、菜のものを分けてお貰い、そうすりゃ叱られはしないからね。何だか、今日は寂しくッて、心細くッてならないから、もうちっと、遊んで行っておくれ、ねえ、お浜、もうお父さんがお帰りだね。」

と顔に顔、児にいいながら縁へ出て来た。

おくれ毛の、こぼれかかる耳に響いて、号外――号外――とうら寂しい。

「おや、もういってしまったんだよ。」

女房は顔を上げて、

「小児だねえ」

と独りでいったが、檐の下なる戸外を透かすと、薄黒いのが立っている。

「何だねえ、人をだましてさ、まだ、そこに居るのかい、此奴、」

と小児に打たせたそうに、つかつかと寄ったが、ぎょっとして退った。

檐下の黒いものは、身の丈三之助の約三倍、朦朧として頭の円い、袖の平たい、入道であった。