Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
かいいき
海異記
泉 鏡花
Lesen Sie 海異記 (かいいき) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.223 Zeichen · 37 Bildschirme
女房は身をしめて、キと唇を結んだのである。
時に身じろぎをしたと覚しく、彳んだ僧の姿は、張板の横へ揺れたが、ちょうど浜へ出るその二頭の猛獣に護られた砂山の横穴のごとき入口を、幅一杯に塞いで立った。背高き形が、傍へ少し離れたので、もう、とっぷり暮れたと思う暗さだった、今日はまだ、一条海の空に残っていた。良人が乗った稲葉丸は、その下あたりを幽な横雲。
それに透すと、背のあたりへぼんやりと、どこからか霧が迫って来て、身のまわりを包んだので、瘠せたか、肥えたか知らぬけれども、窪んだ目の赤味を帯びたのと、尖って黒い鼻の高いのが認められた。衣は潮垂れてはいないが、潮は足あとのように濡れて、砂浜を海方へ続いて、且つその背のあたりが連りに息を吐くと見えて、戦いているのである。
心弱き女房も、直ちにこれを、怪しき海の神の、人を漁るべく海から顕われたとは、余り目のあたりゆえ考えず。女房は、ただ総毛立った。
けれども、厭な、気味の悪い乞食坊主が、村へ流れ込んだと思ったので、そう思うと同時に、ばたばたと納戸へ入って、箪笥の傍なる暗い隅へ、横ざまに片膝つくと、忙しく、しかし、殆んど無意識に、鳥目を。