Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじんにいのる

海神に祈る

田中 貢太郎

Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「おお、権兵衛か」

「承わりますれば、殿様がお成りあそばされたそうで、さぞお疲れの事と存じます」

「なに、急に御微行になられる事になって、今朝城下を出発したが、かなりあるぞ」

「二十里でございますから、お疲れになられましたでございましょう、それで殿様は」

「東寺へずっとお成りになった」

東寺は最御崎寺の事で、其処は四国巡礼二十四番の納経所になり、僧空海が少壮の時、参禅修法した処であった。

「それでは、私もこれからお御機嫌を伺いにあがります」

「今日は来いでもええ、明日此処へお成りになる事になっておる」

「さようでございますか、それでは、今日はさし控えておりましょうか」

「それがええ」それから物を嘲るような眼つきをして、港の方へ頤をやって、「権兵衛、池が掘れかけたようじゃが、彼処へ鯉を飼うか、鮒を飼うか」

それは無用の港を開設するのを嘲っているようでもあれば、工事の遅延して港にならないのを嘲っているようでもあった。小右衛門は同行の武士を見た。それは大島政平と云うお馬廻であった。

「政平、どうじゃ」

政平は莞とした。

「なるほど」

「それとも、万劫魚でも飼うか」権兵衛の方をちらと見て、「今に大雨が降りゃ良え池ができる」