Japanische Klassiker mit Furigana
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かいじんにいのる
海神に祈る
田中 貢太郎
Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme
権兵衛は小右衛門の詞の意がはっきり判った。権兵衛はじっと考え込んだ。小右衛門と政平の二人は、すぐ馬の傍へ往って馬に乗った。
「権兵衛、精出して池を掘れ」
権兵衛が驚いて挨拶しようとした時には、馬はもう走っていた。権兵衛を追って来て遠くの方に控えていた総之丞が其の時寄って来た。
「殿様は、どうなされました」
権兵衛は何も云わなかった。
四
権兵衛は普請役場の内にある己の室にいた。其処は八畳位の畳も敷き障子も入っているが、壁は板囲の山小舎のような室であった。そして、室の一方には蒲団を畳んで積み、衣類を入れた葛籠を置き、鎧櫃を置き、三尺ばかりの狭い床には天照大神宮の軸をかけて、其の下に真新しい榊をさした徳利を置いてあった。権兵衛は其の床の前の小机の傍にいた。其の小机には半紙を二枚折にした横綴の帳面を数冊載せてあった。
権兵衛は思い詰めた顔をして考えこんでいたが、やがて何か考えついたようにして手を鳴らした。するとすぐ近くで返事があって、廊下にした板の間へ顔を出した者があった。磯山清吉と云う下僚で壮い小兵な男であった。
「お呼びになりましたか」
「呼んだ」