Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かいじんにいのる

海神に祈る

田中 貢太郎

Lesen Sie 海神に祈る (かいじんにいのる) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

どっかんどっかんの音はまた聞えだした。権兵衛はやはり釜礁の方を見ていた。と、また其処から歓声があがった。今井武太夫と云う老年の下僚が傍へ来た。

「あれは何でございましょう」

武太夫は視力が鈍いので遠くが見えなかった。権兵衛はそれを知っていた。

「礁がうまく除れておるじゃないか」

「そうでございますか、それは結構なことでございます」

「うむ」

二人の人夫が石垣を這ってあがって来た。組頭の松蔵とこれも組頭の一人の寅太郎の二人であった。松蔵はにこにこしていた。

「旦那、神様のお蔭がございますよ」

「そうか、割れるか」

「どんどん割れます、今、鬨の声があがりましたろう」

「あがった」

「あれでございますよ、最初なんか、児鯨ほどの物が割れましたよ」

「児鯨はぎょうさんなが、そうか、そうか、それはよかった」

「此のむきなら、十日もやれば、割れてしまいますよ」

「大きな礁じゃ、そう早くもいくまいが、緒口が立てば大丈夫じゃ」

六

権兵衛は二番鶏を聞いて起きた。其の晩は夕凪で風がすこしもなかったので、寝苦しくておちおち眠れなかったが、室津を引きあげる事になっているので、努めて起きて朝食を食うなり出発した。